おなじみの比較で、1か所だけ条件が変わった
P-225 が登場した2023年以降、このクラスの定番の比較のひとつがローランド FP-30X とヤマハ P-225でした。ローランドは2026年9月に FP-40 を発表し、国内の発売日は2026年9月19日です。そこで、同じ比較をローランド側だけ新機種に置き換えて考える方も多いでしょう。ローランドは FP-40 を FP-30X の後継機とは発表しておらず、FP-30X も引き続き掲載しています。それでも、ヤマハ P-225 と並べて検討されるローランドのポータブル型として、FP-40 は有力な候補です。
ローランド側の強みの多くはそのまま引き継がれています。同じ鍵盤、Bluetooth MIDI、同時に出せる音の数256音です。引き継がれなかった点が1つあります。FP-30X はヘッドホン端子が2系統で、P-225 と同じでした。FP-40 は1系統です。この1点で、それぞれが向く人が変わります。
方法について先に書いておきます。これは公開スペックにもとづく比較で、2台を弾き比べた経験はありません。弾き心地で優劣は付けず、各社が実際に作ったものを並べます。
鍵盤:エスケープメント付きか、ヤマハのコンパクトなグレーテッドハンマーか
FP-40 の鍵盤はローランドの PHA-4 Standard です。公表仕様では、エスケープメントと Ivory Feel(象牙調の鍵盤表面)を備えています。P-225 はヤマハの Graded Hammer Compact(GHC)で、鍵盤表面はマットな黒の仕上げです。
当サイトのタッチ等級では、PHA-4 Standard が GHC より2段上です。この数値は公表されている構造から機械的に決めたもので、弾いた印象ではありません。ローランドにはエスケープメントと質感のある鍵盤表面が加わること、GHC がヤマハのグレーテッドハンマーを短い構造に収めたものであることを反映しています。
一方で、ヤマハのタッチそのものを好む方もいます。将来ヤマハのアコースティックピアノや据置型に移る予定があり、同じメーカーのタッチを続けたい方もいるでしょう。それは P-225 を選ぶ十分な理由で、等級の数字で決まる話ではありません。可能なら両方を試すと良いでしょう。
Bluetooth:アプリで練習する方にとっての差
2台とも Bluetooth オーディオに対応しており、スマートフォンの音をピアノのスピーカーで鳴らせます。違いは MIDI です。
FP-40 は Bluetooth MIDI に対応しています。弾いた音の情報をケーブルなしでアプリに送れるので、弾いた音を認識する練習アプリを無線で使えます。P-225 は Bluetooth MIDI に対応していません。ヤマハの Smart Pianist などのアプリとは、USB ケーブルでつなぎます。
演奏を聞き取るタイプのアプリで練習するなら、ここが FP-40 を選ぶ最も大きな理由になります。アプリを開けばそのまま弾け、ピアノからタブレットまでケーブルを引く必要がありません。先生や教本、耳で練習する方には、ほとんど関係のない差です。
FP-40 にはさらに新しい機能が2つあります。Bluetooth 5.4で LE Audio にも対応し、2.4GHz帯の Wi-Fi も内蔵しています。ローランドの説明では、Wi-Fi は自宅のネットワーク経由でシステムを更新するための機能です。P-225 にはどちらもありません。
ヘッドホン:ここは P-225 が有利になった
FP-30X との比較と、この比較を分ける点です。
P-225 のヘッドホン出力は2系統で、ヘッドホン向けの Stereophonic Optimizer を備えています。FP-40 は1系統のステレオミニ端子で、マイク付きのヘッドセットにも対応します。ヘッドホン向けの機能として Piano Reality Headphones Ambience を備えています。
夜に1人で練習するなら、1系統で足ります。先生やご家族がもう1本のヘッドホンで一緒に聴く場合は、P-225 ならそのまま使えますが、FP-40 では分配器が必要です。6.3mmプラグのヘッドホンを持っている方は、FP-40 の端子がミニ端子だけである点も確認しておくと良いでしょう。
音源、音色数、スピーカー
FP-40 は Piano Reality Sound Engine で、同時に出せる音の数は256音です。P-225 はヤマハの音源に Virtual Resonance Modeling Lite(VRM Lite)を組み合わせ、同時に出せる音の数は192音です。独奏曲の多くはどちらでも足ります。ダンパーペダルを踏んだまま厚い和音を重ねるときは、数字の大きい方が余裕を持てます。
スピーカーの考え方は2台で異なります。FP-40 は8×12cmのスピーカー2基をスピーカーボックスに収め、12W×2で鳴らします。P-225 は合計14Wを4基のスピーカーで鳴らします。出力が大きいか、スピーカーの数が多いかでは、部屋での聞こえ方の優劣は決まりません。店頭で聴き比べる価値のある項目です。
音色数は、FP-40 が305音色(本体パネルから40音色、Roland Piano App から265音色)、P-225 が24音色です。主にピアノの音で弾くなら、どちらも十分です。アプリでほかの楽器の音も試したい方には、ローランドの方が選択肢は大幅に多くなります。
FP-40 はレッスン機能に対応し、ローランドの Piano Sphere アプリと組み合わせて使います。ローランドによると、このアプリでは最初から100曲を使えます。P-225 にはレッスン機能がありません。
サイズと付属品
- ローランド FP-40: 幅1,307mm・奥行332mm・高さ122mm(譜面立てを外した状態)、重さ14.0kg(譜面立て込み)
- ヤマハ P-225: 幅1,326mm・奥行272mm・高さ129mm、重さ11.5kg
幅と高さはほぼ同じです。P-225 は奥行が6cm浅く、約2.5kg軽くなります。奥行の浅い机に置く場合や、部屋から部屋へ運ぶ場合には、はっきり分かる差です。
2台ともペダルスイッチが付属し、スタンドは付属しません。FP-40 用には、専用スタンド KSF-40 と3本ペダル KPD-70 がオプションで用意されています。電池駆動にはどちらも対応していません。ライン出力、録音、レイヤー/スプリットはどちらにもあります。
どちらを選ぶか
ローランド FP-40 は、弾いた音を認識するアプリで練習し、ケーブルなしでつなぎたい方に向きます。エスケープメント付きの鍵盤を選びたい方、同時に出せる音の数やアプリの音色の多さを重視する方にも合います。1人でヘッドホン練習をする方に向く一台です。
ヤマハ P-225 は、ヘッドホンで2人が聴く場面がある方に向きます。より軽く奥行の浅い本体を選びたい方、ヤマハのタッチを好む方やヤマハを続けたい方にも合います。先生や教本で練習し、無線の MIDI を使わない方にも候補になります。
ローランドの Bluetooth MIDI とヘッドホン端子2系統の両方がほしい場合は、引き続き掲載されている FP-30X が候補になります。2台のローランドの違いはローランド FP-40 と FP-30X の違いで整理しています。