同じ鍵盤を持つ新しい2機種
ヤマハは2026年9月に、Clavinova CLP-800シリーズの入門機として CLP-826 と CLP-836 を発表しました。発売日は2026年10月22日です。
「どちらを選べばよいか」はよくある質問のようで、ヤマハ自身も FAQ でこの2機種の違いを説明しています。この記事はメーカー公表の仕様にもとづく比較です。どちらもまだ発売前で、2台を弾き比べた経験はありません。数値はすべてヤマハの仕様表によります。
2台で同じ部分
指で触れる鍵盤と、練習で使うピアノの音は同じです。
- 鍵盤は GrandTouch-S。エスケープメント付きで、象牙調・黒檀調の仕上げ。白鍵の側面には木材を使用
- 音源は Yamaha CFX と Bösendorfer Imperial のサンプリング。VRM と Grand Expression Modeling を搭載し、同時に出せる音の数は256音
- Bluetooth オーディオと MIDI に対応。USB オーディオインターフェースでパソコンに録音できる
- ヘッドホン端子は標準(6.3mm)が2つ
- 3本ペダルで、GrandTouch ペダルを搭載
- レッスン曲303曲とクラシック50曲
- 椅子とヘッドホンが付属
ピアノの練習が中心で、ヘッドホンを使うことも多い方にとって、大事な部分はほぼここに含まれます。CLP-836 にしても、鍵盤やグランドピアノの音源が変わるわけではありません。違いは、その周りの部分にあります。
スピーカーと本体の大きさ
CLP-826 のアンプは20W×2で、12cmのスピーカーが2基です。CLP-836 は30W×2で、16cmのスピーカーが2基です。数値の上では CLP-836 の方が出力もスピーカーも大きく、音量の余裕や低音の厚みで有利と考えられます。どこまで違いが聞こえるかは部屋にもよるため、店頭で両方を聴き比べる価値があります。
スピーカーが大きい分、本体も大きくなります。
- CLP-826: 幅1,350mm・奥行411mm・高さ849mm、45kg
- CLP-836: 幅1,450mm・奥行460mm・高さ927mm、57kg(黒鏡面艶出し塗装は幅1,455mm・奥行460mm・高さ930mm、60kg)
CLP-836 は幅が10cm、奥行が約5cm、高さが約8cm大きくなります。部屋が狭い場合や、置ける壁の幅が限られる場合は、CLP-826 の方が置きやすいでしょう。
音色とエフェクト
音色数は CLP-826 が10、CLP-836 が38です。ヤマハによると、CLP-836 の38音色にはフォルテピアノの音色が2つ含まれます。CLP-836 はコーラスやブリリアンス(音の明るさ)の調整、インサーションエフェクトも備え、リバーブは7種類(CLP-826 は4種類)です。
ヘッドホンで弾く方に関わる違いが1つあります。ヘッドホンで自然な広がりのある音を聴けるバイノーラルサンプリングは、CLP-826 では CFX のみ、CLP-836 では CFX と Bösendorfer の両方に対応しています。ヘッドホン練習が多く、Bösendorfer の音が好みなら、CLP-836 を選ぶ理由になります。
画面、録音、練習機能
CLP-826 には画面がなく、ボタンで操作します。CLP-836 にはフルドット液晶の画面があります。そのほかの違いは、画面があることで使いやすくなる機能に集中しています。
- 録音: CLP-826 は1曲・2トラック(MIDI)。CLP-836 は250曲・16トラックに加え、USB メモリーに WAV 形式で録音でき、1曲あたり最長80分
- スプリット: CLP-826 はなし、CLP-836 はあり(デュアルとデュオはどちらもあり)
- タッチの設定: CLP-826 は4段階、CLP-836 は6段階
- 移調: CLP-826 は±6半音、CLP-836 は±12半音
- リズムと Piano Room: CLP-836 のみ(リズムは20種類)
- ペダルへの機能割り当て: CLP-836 は曲のスタートや一時停止などをペダルに割り当てられる
自分の演奏を録音して聴き返したり、先生に送ったりしたい場合、CLP-836 なら本体だけでできます。CLP-826 では、本体での MIDI 録音か、USB でつないだパソコンでの録音になります。
接続端子
2台の違いがいちばんはっきり出るのがここです。CLP-826 はヘッドホン端子のほかに、USB TO HOST しかありません。AUX IN、AUX OUT、USB TO DEVICE はありません。CLP-836 は AUX IN(ステレオミニ)、AUX OUT(L/L+R、R の標準端子)、USB メモリー用の USB TO DEVICE を備えています。
たとえば学校や教会、小さな発表会などで、外部スピーカーやアンプにつないで鳴らしたい場合、専用の音声出力があるのは CLP-836 だけです。USB でパソコンに音を送ることと、Bluetooth で音を受けることは、どちらもできます。
どちらを選ぶか
CLP-826 は、自宅での練習が中心で、ヘッドホンを使うことも多く、主にピアノの音で弾く方に向きます。鍵盤も2つのグランドピアノ音源も同じで、本体はひと回り小さく軽く、価格も2台のうち低い方です。これから始める方や、久しぶりに再開する方の多くには、これで足ります。
CLP-836 は、演奏をきちんと録音したい方、外部スピーカーやアンプにつなぎたい方、ピアノ以外の音色やスプリットを使いたい方に向きます。今は使わない機能でも、先々使うかもしれない方にも合います。スピーカーが大きく、ヘッドホンで Bösendorfer のバイノーラル音も使えます。そのぶん置き場所は広く要ります。
どちらが上ということはありません。決め手は、CLP-836 で増える端子や機能を使うかどうかです。
旧モデルと比べている方へ
新しい2機種は、それぞれ前のモデルと仕様表の1行だけが違います。白鍵の側面に木材を使った点です。そのため CLP-826 と CLP-836 の違いは、CLP-825 と CLP-835 の違いとまったく同じです。側面の木材が何を変え、何を変えないかは、CLP-825 と CLP-826 の比較で詳しく扱っています。側面だけでなく木製の白鍵を求める方は、ひとつ上の CLP-845 が候補になります。