FP-E50とP-S500を比べているなら、本当の問いは「どちらが良い音か」ではありません。「あなたはピアノで演奏したい演奏家か、ピアノを弾くことを目指すピアニストか」です。どちらも約132,000円で、88鍵・256音同時に出せる音の数・Bluetooth AudioとMIDI搭載です。スペック表を並べるとほぼ同じに見えます。でも実際はまったく違います。

「一人バンド」 vs「上質なピアノ」

ローランド FP-E50はアレンジャーポータブルです。ピアノは「より大きな音楽表現の中の一要素」として扱われています。750種類の音色、自動伴奏パターン、マイク入力(歌いながら弾ける)、ボイスエフェクト。ヤマハ P-S500はピアノそのものが目的です。予算はGH3の3センサー鍵盤アクション、Stream Lights視覚学習機能、本格的な夜間練習向けのヘッドホン最適化に使われています。これは同じ製品の2バージョンではありません。「13万円の楽器とは何か」という、根本的に異なる2つの考え方です。

マイク入力が良い判断材料になります。FP-E50にはある。P-S500にはない。ヤマハの設計ミスではなく、各楽器が何を目指しているかを反映しています。ピアノを弾きながらマイクで歌う場面が少しでも想像できるなら、FP-E50の方が向いています。そんな場面は想像できないなら、マイク入力は関係のない話で、P-S500の設計優先事項の方がずっと意味を持ちます。

鍵盤アクションの差は本物

同じ同時に出せる音の数数や似たような音色数の数字に惑わされず、この2台の最も重要な違い——鍵盤——を見てください。

P-S500はヤマハのGH3アクション(3センサー/鍵)を搭載しています。低音域から高音域への段階的な重み付け、アイボリー調の表面。3センサーと2センサーの違いは、鍵盤が完全に戻り切る前に次の音を検知できるかどうかです。速い連打、トリル、素早いパッセージでは、これが実際の弾きやすさの差になります。FP-E50が搭載するのはローランドのPHA-4 Standard(2センサー/鍵)で、FP-30Xと同じアクションです。この価格帯では優れたアクションですが、センサー数には差があります。技術が上達するにつれて、この差は体感できるようになります。

これはブランドの好みではありません。センサー数が多い方が技術的な要求に応えやすく、ピアノを真剣に練習する方はやがて違いを感じるという事実です。

P-S500はより技術的に本格的な設計でありながら、FP-E50より軽い(13.8kg対15.5kg)。FP-E50が重いのはスピーカーが大きいからです(24W対20W)。部屋を満たす演奏用途ではFP-E50がやや有利ですが、持ち運びを重視するなら、ピアノ特化の方が実は軽いです。

音色数は目くらましになりがち

750種類(FP-E50)対660種類(P-S500)はスペック表では大きな差に見えますが、実際には両方とも、家庭のピアノ練習で日常的に使うより遥かに多い数です。大切なのは数ではなく、その音色が何を反映しているかです。FP-E50の750種類は、リズムパターンに合わせて弾いたり、ゲストを楽しませたり、一人でアレンジをするときに必要なジャンルをまたいだ多様性です。P-S500の660種類はYamaha CFXコンサートグランドのサンプリングを中心に、伴奏スタイルと幅広いライブラリが加わった構成です。

どちらの数字も「ピアノとして上手く弾けるか」とは関係ありません。実際に自分が鍵盤で何を使うかを考えてください。

Stream Lightsにはアプリが必要

P-S500の目玉学習機能——Stream Lights(曲に合わせて鍵盤が光り、どこを押すか教えてくれる)——は本当に印象的な技術です。ただし、ヤマハのスマートピアニストアプリを対応スマートフォンかタブレットで使う必要があります。そのデバイスがなければ機能しません。アプリ連携のセットアップに慣れていて対応デバイスを持っている方には、学習段階での大きな強みになります。そういった準備が面倒に感じる方は、その手間も判断に入れてください。

演奏家かピアニストか——FP-E50かP-S500か

FP-E50が向いているのは:一人で演奏する機会がある方、弾きながら歌いたい方、自動伴奏をライブ・練習で使いたい方、または一台で複数の音楽的役割をこなしたい方。750種類の音色・リズムパターン・マイク入力は、そういう使い方をする方には「プロのツール」です。

P-S500が向いているのは:ピアノの練習が主な目的の方、技術を磨くことを大切にしている方、夜にヘッドホンで練習することが多い方、またはヤマハのポータブルで最高の鍵盤アクションを求める方。

3年後、「ピアノを弾きたかった」のにFP-E50を買った方は鍵盤アクションに不満を持つかもしれません。「音楽的な多様性とマイク入力が欲しかった」のにP-S500を買った方は機能の制限に物足りなさを感じるでしょう。あなたの音楽生活に合わない方のピアノが、後々のストレスになります。

FP-E50を選ぶのは:定期的に一人で演奏する、弾きながら歌う、自動伴奏をライブや練習で使う、または複数の音楽的な役割を1台でこなしたい方。

P-S500を選ぶのは:ピアノの練習が第一、技術を育てたい、夜にヘッドホンで練習することが多い、またはヤマハポータブルで最高の鍵盤を手に入れたい方。