まず部屋のイメージから

2つのリビングを想像してください。一方は、薄型のピアノが壁にぴったりと収まっています。ソファはいつもの位置のまま、ピアノは最初からそこにあったかのように部屋に溶け込んでいます。もう一方は、少し奥行きのある本体のせいで、ソファが前に出て、全体のレイアウトを微調整しなければなりませんでした。どちらのリビングも悪くはありません。ただ、一方には妥協が必要でした。

その違いは77mm。ローランド F-701の奥行き345mmと、ヤマハ YDP-145の422mmの差です。この比較でもっとも見落とされがちな要素です。価格はほぼ同じ。どちらもスタンドと3本ペダルユニット一体型。対象はどちらも「本格的な初めての家庭用ピアノ」を探している方です。でも、ローランドは「ピアノが実際にどこに置かれるか」を考えて設計されました。ヤマハは「良いピアノを作る」ことに注力して設計されました。この違いを理解することが、選ぶ手がかりになります。

F-701の薄さは見た目だけの話ではない

77mmという数字は抽象的に聞こえますが、実際に壁の寸法を測るとリアルに感じます。マンションでピアノを置ける壁が限られている場合、ソファや扉の近くの壁に置くと、345mmと422mmの差は「収まるか収まらないか」を左右することがあります。F-701の重さは39kgで、YDP-145の38kgより少し重いです。薄い奥行きは材料を薄くしてではなく、キャビネットの設計で実現されています。スペースに制約のある方には、F-701の薄さは最も明確な強みです。

Bluetoothが実際に変えること

F-701はBluetooth AudioとBluetooth MIDI両方に対応しています。YDP-145はBluetoothがなく、アプリ接続にはUSBケーブルが必要です。

Bluetooth Audioがあると、F-701のスピーカーが部屋のスピーカーになります。スマートフォンから音楽をワイヤレスで流しながら練習したり、伴奏音源に合わせて弾いたり、ローランドのアプリをワイヤレスで使えます。YDP-145は毎回ケーブルを繋ぐ必要があります。その「一手間」は軽く見られがちですが、実はアプリ練習が定着しない原因になりやすい問題です。ローランドはこの摩擦をなくしています。

音の性質:どちらも良い、でも好みが分かれる

YDP-145はヤマハのCFXサンプリング(VRM Lite付き)を使っています。明るく、コンサートホールらしい前に出る音で、「ヤマハの音」として多くの方が親しんでいる性格です。F-701はローランドのSuperNATURAL Pianoで、中音域が少し温かみがある印象です。この価格帯ではどちらも十分な品質です。どちらが優れているとは言えません。本当に好みの問題です。

音色数はF-701が324種類、YDP-145が10種類。初心者がグランドピアノの音で練習している最初の1〜2年は、追加の音色をほとんど使わないことが多いです。音色の多さは、アレンジや複数ジャンルを探求したい方により意味があります。自分が実際に使うかどうか、正直に考えてみてください。

出力はF-701が24W、YDP-145が16Wです。どちらもリビングには十分ですが、ローランドは大きめの音でも余裕があります。

アクションと長期的な視点

F-701はPHA-4 Standardアクションにエスケープメント機構付きです。YDP-145はヤマハのGHSで、しっかりした重み付きのエントリーアクションですが、エスケープメントはありません。

エスケープメントは鍵盤を押す途中(約3分の2のところ)でかすかに感じる抵抗感で、グランドピアノのハンマーが跳ね返るときの動きを再現しています。最初はほとんど気づきません。でも何ヶ月も練習していると、その感覚に指が慣れていき、そこをコントロールする力がついてきます。これが、非常に繊細で正確な弾き方——後でアコースティックピアノに移ったときに生きてくる感覚——を育てます。

初心者にとっては、どちらも「重み付き鍵盤のピアノ」として機能し、正しい弾き方の習慣を身につけられます。2〜3年経って上達してきたとき、F-701でずっと練習してきた方は、エスケープメントが自分のタッチを静かに鍛えてくれていたことに気づきます。YDP-145の方はその違いを比較する機会がないので、気づかないまま過ぎることもあります。楽しみのために弾くだけで技術目標のない方には、この差は関係のない話です。

鍵盤カバーについて

YDP-145は鍵盤を隠す開閉式のスライドカバーがついています。閉めると家具のように見え、弾かないときもリビングにスッキリ収まります。F-701は鍵盤が常に見えています。リビングの見た目を大切にする方、ピアノを弾かない時間の方が長い方には、ヤマハのカバーは好ポイントです。弾く瞬間しかピアノを見ていない方には、関係のない話です。

あなたの部屋と目的に委ねる

ローランド F-701を選ぶのは、部屋の奥行きに制限がある方、またはワイヤレス接続が練習習慣の一部になっている方です。マンションや狭い部屋では薄型の設計が最も現実的な選択です。Bluetooth Audioはアプリ練習の習慣を続けやすくします。エスケープメント付きのPHA-4 Standardは、本格的なタッチを磨きたい方への長期的な投資として優れています。24Wのスピーカーも地味に便利です。

ヤマハ YDP-145を選ぶのは、奥行きに余裕があってCFXの音の性格が特に好きな方、またはスライドカバーでピアノを家具として使いたい方です。10種類の音色、Bluetoothなし、すべてがピアノに集中したシンプルな設計は、機能より潔さを好む方にとって美点です。