上位機の差額は鍵盤には向かっていません

CLP-875 と CLP-885 は、ヤマハ Clavinova CLP-800シリーズの隣り合う2機種です。どちらも2024年発売の現行機です。CLP-885 は縦型キャビネットの Clavinova では最上位で、上にはグランド型の CLP-895GP があるだけです。

CLP-885 の方が価格はかなり上なので、弾き心地も上だと考えがちです。ところがヤマハの仕様表では、鍵盤に違いはありません。

方法について先に書いておきます。これはメーカー公表の仕様にもとづく比較で、2台を弾き比べた経験はありません。数値はヤマハの機種別の仕様ページで確認したものです。

鍵盤は同じ GrandTouch

どちらも GrandTouch 鍵盤です。白鍵は木製で、鍵盤表面は人工黒檀と人工象牙、エスケープメント機構も備えます。88鍵で、同時に出せる音の数は256音です。

同じ鍵盤は、グランド型の CLP-895GP にも載っています。つまり CLP-875 から上では、タッチはもう変わりません。シリーズでタッチの段差があるのは、GrandTouch-S を積む CLP-845 と CLP-875 の間です。

CLP-885 の鍵盤は上位版だ、という説明を見かけることがあります。しかしヤマハの機種別の仕様表では、どちらも同じ GrandTouch です。弾き心地を基準に選ぶなら、CLP-875 で CLP-885 と同じタッチが得られます。

CLP-885 で増えるもの

アンプは10 W多く、スピーカー数は同じ

アンプ出力は CLP-875 が220 W、CLP-885 が230 Wです。スピーカーはどちらも6基です。

内訳は CLP-875 が(45+25+40)W×2、CLP-885 が(45+30+40)W×2です。違うのは真ん中の段で、片側5 Wだけです。数字の上では小さな差で、これだけで居間での音量がはっきり変わるとは考えにくいところです。

背が高く、奥行きがあり、重い本体

CLP-885 は高さが6 cm、奥行きが約3 cm大きく、16 kg重くなります。スピーカーはこの大きな本体に収まっています。本体の大きさが部屋での鳴り方をどう変えるかは、仕様表からは分かりません。スピーカーで弾く時間が長い方は、店頭で同じくらいの音量にして聴き比べる価値があります。

音色は38と、53+XG音色480

CLP-875 は38音色で、ピアノのほかにエレクトリックピアノやオルガンを収録しています。CLP-885 は53音色でオーケストラ音色も入り、さらにXG音色480を持ちます。XG音色は、多くの楽器の音をそろえた音色群です。

MIDIの曲データに合わせて弾く、アレンジをする、いろいろな音を重ねる、という方には意味があります。ピアノの音で弾く時間がほとんどなら、どちらも同じ Yamaha CFX と Bösendorfer Imperial です。増えた音色は、あまり使わずに終わるでしょう。

そのほかは同じ

仕様表では、次の項目が共通です。

ヘッドホンまわりが同じ点は、夜に練習する方にとって大事です。ヘッドホンで弾いている間、スピーカーと本体の大きさは音に関わりません。ヘッドホン中心の練習なら、CLP-885 の主な利点はほとんど表に出ません。

CLP-875 で足りる方

CLP-885 を選ぶ意味がある方

タッチを求めて上を見るなら

CLP-885 では鍵盤が変わりません。CLP-875 より本物のピアノに近い弾き心地を求める方にとって、次の候補にはならないということです。ヤマハでその先にあるのは、本物のアップライトピアノのアクションを使うハイブリッドです。この選び方は NU1XA と CLP-885 の比較 で整理しています。他社の木製鍵盤の据置型と比べたい方は、カワイ CA-701 と CLP-875 の比較 も参考になります。

まとめ

CLP-875 と CLP-885 は、鍵盤もピアノの音源もヘッドホンまわりも同じです。CLP-885 で増えるのは、大きく重い本体、10 W分のアンプ出力、そして多くの音色です。弾き心地で選ぶ方やヘッドホン中心の方は、CLP-875 で必要なものがそろいます。広い部屋でスピーカーで弾く方や音色を多く使う方は、2台を聴き比べてから CLP-885 を検討すると良いでしょう。